乳癌の放射線療法には大きく分けて、「初期治療」と「再発治療」があります。

初期治療における放射線療法

乳房温存手術後の放射線療法

乳房温存手術後に放射線療法を行うことで、局所再発が減るとされています。

このため術後に薬物療法を行わない場合は乳房温存手術後2か月頃までにはがんのあった側の乳房全体に放射線治療を開始します。

腋窩リンパ節郭清の結果、リンパ節転移があった場合には首のつけねや胸骨の周囲も含めて照射を行う場合もあります。皮膚が赤くなるなどの副作用は照射した範囲にしか出ません。

放射線治療は通常50Gy〔グレイ〕を25回もしくは42.56 Gyを16回に分けて行います。

40歳以下の若い方や手術標本を顕微鏡で検査した結果によっては追加で一部分だけ10Gy(5回)もしくは10.64Gy(4回)追加する場合もあります。

乳房全切除術後の放射線治療

癌が広範囲に広がっている場合やリンパ節転移があるなどの再発高リスク例では放射線治療を行うことで、局所再発を減らすだけでなく、生命予後を改善するといわれています。

乳腺のあったところの胸壁と首のつけね(場合によっては胸骨の周囲も)に放射線治療を行います。

左乳房(胸壁)は心臓と距離が近く、治療後半年以上経って心血管病のリスクが増えるとされています。

当院では、そのリスクを減らすために深吸気息止め照射を積極的に行っています。

深く息を吸った状態で照射を行うと、左乳房(胸壁)と心臓の距離が離れ、心臓への被ばくが抑えられます。

左乳癌の場合は乳房温存手術後、全切除術後に関わらず状況に応じて深吸気息止め照射も行っています。

再発治療における放射線療法

局所再発または領域リンパ節再発の場合

手術できる場合にはまず手術を行い、放射線治療を受けられたことのない方は初期治療と同じように放射線治療を行います。

例えば乳房温存手術後の鎖骨上のリンパ節再発や乳房全切除術後の胸壁再発では適応になります。

遠隔再発の場合

脳や骨に転移した場合には定位照射という病巣に放射線を集中的に照射する方法で局所をコントロールすることもあります。

完治は難しくても、痛みの緩和や症状の進行予防によって生活レベルを維持する方法もあります。